LSIによるコーチング
- LSIによるコーチングは、次のような考え方とステップを踏んで行ないます。
私たちはいろいろな職業についていますが、それが何であれ、職業人である前に一人の人間です。職業は一生の間いろいろ変わることがありますが、一人の人間であることは変わりません。その自分がどんな人間か・・・について知ることが第一ステップです。
1.自分はどんな人間か?
LSI(Life Styles Inventory)は米のHS(Human Synergistics )社のプログラムで、個人のライフスタイルを明らかにしようとして開発されたものです(「自己開発ガイド」が用意されている)。質問項目は240問あり、その一つひとつは、自分自身のことや仕事、人間関係を想定して、それに個人がどのように反応するかを見ようとするものです。そして、人生で起こる色々な問題を処理し、目標を達成し、満足感を味わうために最も多く使うスタイルをその人の対応パターンすなわちライフスタイル(LSIスタイル)と呼びます。
ライフスタイルとしては12の型とそれを包括する3つのスタイルに分類され、次頁のような円
環図で表示されます。
・建設的スタイル :達成型、自己実現型、人間尊重型、協調型
・受身的/防衛的スタイル:承認型、慣習型、依存型、回避型
・攻撃的/防衛的スタイル:対立型、権力型、競争型、完全主義型
例:円環図 |
自分のライフスタイルの特徴を知る
2.アンケート調査の結果、ライフスタイルの全貌が見えてきます。
アンケートの結果は、自分が考えた「現在の自分の姿」(=自己イメージ)です。
ここに出てくるライフスタイルは、どんな知識、スキルをもっているかを問うものではなく、
どんな職業の人にも通用するコンピテンシー(思考特性、行動特性)モデルといえます。
円環図をもとに、次のような視点で自分のライフスタイルの特徴を確認します。
- 3つの包括的スタイルのどれが一番大きく出ているか?
- メインスタイル(中心からの距離が一番長い)は何か?
- バックアップスタイル(中心からの距離が2番目に長い)は何か?
これらのスタイルは、自分が日頃頻繁に用いることで身についたもので、殆ど習慣的になっていますが、固定しているわけではなく、いつでも変更可能です。これから先、どのような人生を歩みたいか、その選択によって新しいスタイルを身につけることが可能です。LSIはその選択肢として参考になるものであり、これを学ぶことで、納得できる新しい自分づくりの座標軸として活用することができます。
なお、自分のライフスタイルを変えるべきかどうかは迷う場合がありますので、次の2つの
視点から「どのような選択をすべきか」を考えます。
一つは、自分が何らかの組織に所属していて、今のスタイルを維持したまま人を管理する上位
職に就いたとしたら、チームや組織運営はうまくいくかどうかを確認すること。
もう一つは、他者が自分のことをどう評価しているかを知ることです。
ライフスタイルと管理職のマネジメントスタイルの関係を考える。
3.まず、今のライフスタイルを維持したまま上位の職位に就いたとしたら、チームや組織運営がうまくいくかどうかを確認します。
自己開発ガイドには、ライフスタイルと管理スタイルがどのような関係になるかを表示しています。これを見ると、管理職として相応しいスタイルと相応しくないスタイルがあることがわかります。そして、自分にそのようなスタイルがあることがわかれば、「そのスタイルをさらに伸ばす」、または「スタイルを変える」と決断すればよいことになります。
これは、すでに管理職の地位にある人にとっても参考になるはずです。
他者の目にどう映っているかを考える。
4.もう一つの方法は、自分が他者の目にどのように映っているかを見ることです。
それには、自分のことを知っている人たちに自分のことをどう見ているかを評価してもらうのが一番です。LSIには、個人評価用と他者評価用の2種類あって、それぞれ次のような構成になっています。
- LSI-1:個人評価用
個人が仕事をしたり人間関係を築くに当たって、周囲の人たちとどのような関係をつく
り、行動に結びつけていくかを自分自身で客観的に判断し回答します。
- LSI-2: 他者評価用(5人が評価)
LSI-1と同じ状況のなかで個人の行動パターンを周囲の人たちがどのように感じ、解釈しているかを客観的に評価・回答してもらいます。
(但し、LSI-2は希望者にのみ実施します)
これら2つの調査結果は、円環図として表示されます。
そして、2つを対比することで、自分が見ている自分と、他者の目に映っている自分がどれだけ違っているかを確認することができます。そして、何故そのような違いが生じるのか自分の胸に問い質すことで、自分の強みと弱みに気づき、強みをさらに伸ばし、弱みを克服したいと思うようになるのです。
例: 自分が見た円環図 他人が見た円環図
自分が目指す「理想のライフスタイル」を白紙の円環図に書いてみる。
そのうえで、現在の自分のライフスタイルと比較して、どこを修正すれば理想のスタイルに近づくことができるか検討する。
5.自分が目指す理想のライフスタイルを身につけることを考える。
最後に、自分のライフスタイルを変えるとしたら、どんなスタイルを選択することが自分の人
生を豊かなものにする(幸せになる)ことができるか考えます。
それには、まず自分が理想とするスタイルを円環図上に表示することです。現状の円環図をも
とに、それぞれの軸に自分が考える理想のスタイルを表示していきます。すると必ず、伸ばし
たいところと減少させたいところが見えてきます。
- 主に変えたいスタイルは何か(その理由も書く)
①伸ばしたいスタイルは何か:( )スタイル
➁減らしたいスタイルは何か:( )スタイル
これらのことができたら、次にどのようにして理想に近づけていくかを考えます。つまり方
法論です。そのために、「理想―現実」のギャップ分析を行ないます。すなわち、「なぜ現在の円環図になっているか。理想の円環図とのギャップはどれくらいあって、理想に近づくためにどうすべきか」という分析を行うことです。
ここまできたら、もう一度調査票に戻って「自分が240問の質問にそれぞれどう答えたか」
を再確認し、修正したいところがあれば、それをどのように変えていくかを考えます。そして、それを実現していくために「自分にできることは何か」と自分自身に問いかけることです。そうすれば必ず、自分の理想とするライフスタイルがどんなものかイメージでき、それに近づいていくためにどうすべきか確信がもてるようになります。
*このように、LSIは自信をもって個人変革のツールとして活用することができます。